8月2日に初めて訪れた熊本県阿蘇郡西原村の一ノ峯(いちのみね)・二ノ峯(にのみね)。母と私はすっかり、その美しい緑の稜線とすばらしい展望のとりこになってしまい、2週間後にはまた同じ場所に向かっていました。
今回は一ノ峯・二ノ峯を経由して、その先の冠ヶ岳(かんむりがたけ)まで足をのばしました!
前回の登山レポはこちらです。↓
2020年8月16日(日)晴れ
前回は登山口に辿り着くのに時間がかかってしまいましたが、今回はその失敗を活かしてスムーズに目的の登山口へ到着することができました。
今回は、前回の登山口からさらに1km程道を登り進んだところにある別の登山口からトライしてみることにしました。駐車スペースは車3~4台分とちょっと狭めですが、登山口を示す看板もあって分かりやすい!一ノ峯へのコースタイムを30分程短縮できるので、次回からもこちらのルートを使った方が良さそうです。
一ノ峯に向けて、早速出発です!
登り始めるとすぐに展望が開けました。雲一つない青空が広がっています。
遠くは熊本市の金峰山(きんぽうざん)、さらにその奥には長崎の雲仙普賢岳まで臨むことができました。
山の下に広がる景色を眺めながら30分くらい歩いたところで、前回も歩いた登山道に合流しました。ここまで来るともう一ノ峯は目の前。あっという間です。
この時間、足元の草にはまだ朝露がびっしり。最初は、「タイツまで濡れてるけど、むしろ涼しいし、このくらいまあいっかー!」くらいに思っていました。最初は…。
今回は目的地を冠ヶ岳に設定したので、体力を温存するために往路の一ノ峯・二ノ峯は巻き道を使ってスキップ。帰り道の元気次第で登るかどうか決めることにしました。
ということで、一ノ峯手前の分岐から巻き道に入ります。
巻き道は草が茂っているということは前回歩いて分かってはいたのですが、なんだか嫌な予感が…。
足が見えなくなるほどの草の生い茂りっぷり!それも朝露たっぷり!
前回この道を通った時は帰り道のお昼頃だったので、もうその時には朝露は乾いてしまっていたのでしょう。今回こそゲイターを着けておくべきでした。
二ノ峯の巻き道を通り終えるころには、登山靴の中にチャプチャプと水たまりができるほどに…。靴の中がこんなにぐっしょり濡れてしまうなんて、朝露のことを完全に甘く見ていました。
二ノ峯の下で、靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ。ジュチョジュチョになった靴下の水を絞る母と私。(笑) こんなに晴れているのになんで私たちの靴は濡れているのか…。簡単に乾くはずもなく、泣く泣く濡れた靴下と靴を履きなおしました。気持ち悪くて仕方がない。
また一つ、勉強しました。
ちらほらと咲き始めたマツムシソウが、落ち込んだ私たちを励ましてくれていました。
ぐしょぐしょの足元は気になりますが、心を決めて、私たちはまた歩き始めました。
ここからは、俵山と冠ヶ岳への分岐がある阿蘇外輪壁を目指します。
ずらーっと奥に見えている尾根が阿蘇の外輪山。カルデラを外から見ているかたちです。正面の鉄塔に向かってしばらく歩きます。
鉄塔下のこの道。野焼きの防火帯であることに途中で気づきました。防火帯は、野焼きの際に延焼を防ぐために造られているものです。そのため、進行方向の左側は木が立ち並んでいますが、右側には樹木がなく草原が広がっています。
後ほど調べたところ、こういった防火帯の草刈りはほとんどが人の手で行われているそうです。急斜面に立って、こんなに広い面積の草を刈るのはとても大変でしょう。野焼きがどれだけたくさんの人の労力をかけて毎年毎年続けられているのかを想像すると、頭が下がります。そのお陰で、この阿蘇の草原に包まれた景観が保たれているのです。ありがたいことです。
鉄塔を通りすぎたところで、林の中に入ります。入り口が分かりにくかったのですが、今回もYAMAPアプリが役に立ちました。
林の中に入ると、日差しが遮られて少しひんやりと感じます。なかなか快適です。
変わった花も見つけました。
「ヤマホトトギス」。日影や湿ったところを好むようで、この後林の中で何度も見かけました。ちょっと気味が悪い気もしますが、変わった形をしていてなんだか不思議な魅力があります。
二ノ峯から林の入り口まで30分、林に入ってからまた30分、合わせて1時間程歩いたところでやっと俵山との分岐にやってきました。
手作り感満載の分岐の看板。かろうじて俵山の「俵」と冠ヶ岳の「冠」が読めました。今回は外輪山を冠ヶ岳方面に歩きます。
分岐から10分程歩いたところでふと左後ろを振り返ると、絶景が目に飛び込んできました。
カルデラの中に悠然と構える阿蘇五岳。
先に進むにつれて、その全貌が現れました。
左から杵島岳(きじまだけ)・烏帽子岳(えぼしだけ)・中岳(なかだけ)・高岳(たかだけ)・根子岳(ねこだけ)と並んでいます。山の麓に広がるのは南阿蘇の田園地帯です。
阿蘇のスケールの大きいこと!改めてその雄大さに感動しました。この角度から阿蘇五岳を眺めるのは初めてで、なんだか新鮮でもあります。根子岳のギザギザを見ると嬉しくなるのは私だけでしょうか?
杵島岳の後ろには、こんもりとした緑の丘・米塚(こめづか)も見えました。いつ見ても可愛いシルエットです。
ここからは、阿蘇のパノラマを楽しみつつ、大小様々なピークの登り下りを繰り返して外輪山を進みます。
途中、片側が崖になったザレ場や、ロープを使わないと登れないような急斜面、ハシゴがかかった場所も出てきました。内容盛りだくさんで、少しずつ変化があって飽きずに歩くことができます。慎重に進めば危険なところはありません。
ただし、木陰のない尾根の上には日差しが容赦なく照り付けます。なかなかハードな道のりです。
俵山との分岐から約1時間。地蔵峠に続く道との分岐に到着しました。冠ヶ岳まであと0.8km。あと一息です!
冠ヶ岳1,154m、初登頂しました!記念写真をパシャリ。
頂上は大きな木がなく開けており、眺めが良く、阿蘇五岳を始め四方の山々を臨むことができました。私たちが歩いてきた一ノ峯・二ノ峯はここから見ると大分小さく見えます。
頂上にはベンチもありましたが、私たちは日差しを避けて近くの木陰へ入り、ゆっくりと昼食をとることにしました。日影ではぶんぶんとたくさんの虫が飛んでいたけれど、夏の太陽には勝てませんでした。
結果、私と母は家に帰ってから虫刺されに悩まされることになりましたが…。
お腹が満たされ、熱くなった体も少し冷えたところで、さて下山開始です。下りは登ってきたルートの反対方向に進みます。
一旦、杉林の中に入りますが、すぐにまた林を出て緑の丘に出てきました。正面の大きな鉄塔が目に入ります。赤白の鉄塔と草原って、不思議と似合うんですよね。
下った先に待つ一ノ峯・二ノ峯。あそこに辿り着くためには上り下りを何度か繰り返さなければならないようです。
意外と遠いな~。この時点で、暑さと長距離歩行にバテ気味の私。一ノ峯・二ノ峯に登る元気は残ってないかもしれないなあ…と思い始めていました。
ずーっと続く防火帯を、下って、下って、下っていきます。
足元には岩がゴロゴロして歩きにくいのに、あまりに草原が美しくて歩きながら見とれるもんだから、たまにこけそうになってしまいます。
草スキーしたらとっても気持ちが良さそうです。
途中、鉄塔のわきから杉林に入りました。ここからは何度か防火帯と杉林を行ったりきたりしていきます。
この防火帯から林への入り口。どの入り口も大きな目印がなくて分かりづらく、正直私たちはYAMAPの地図に頼りきりでした。地図で現在地を確認するといつの間にか道を外れていて、慌てて少し引き返して防火帯端の草むらに隠れた林への入り口を探す、の繰り返し。YAMAPがなかったらどうなっていたことやら…です。
杉林の中も、木を伐採した後の木くずが落ちたままになっていて、道といえるものは見当たりませんでした。ここでもYAMAPだけが頼り。
このルートを通る人は少ないのかもしれません。今考えてみると、人に出会ったのは頂上が最後で、下山中誰にも会うことはありませんでした。
道を彷徨ってハラハラしながらも、なんとか防火帯と杉林の道を抜け出し、二ノ峯近くまで戻ってきました。振り返って、今日歩いてきた道のりを見渡します。鉄塔いくつ分歩いたな~なんて数えちゃいますね。
杉林との格闘で疲れ果ててはいたものの、せっかくここまで来て一ノ峯・二ノ峯の頂上を踏まないのはもったいない!と、最後の元気を振り絞って登ることにしました。
やっぱり好きだな~、この景色。稜線の美しさがたまりません。前回来たときから草の丈が伸びたのか、モコモコ・フワフワ感が増していました。緑も深くなった気がします。
登ったはいいんですが、一ノ峯の頂上に着いた頃にはもうヘロヘロ。完全にバテてしまいました。あと一歩で熱中症になっていたかもしれません。
母を心配させてしまったので、自分の体の限界を考えず無理をした自分を反省しました。こんなところで倒れたら、助けも呼べずに大変なことになってしまいます。
また、日影の少ないこのルートは炎天下の夏には不向きなのだと思いました。その点もしっかりと考えなかったので反省です。
岩陰に座り、昼食のフルーツを冷やすために持ってきていた保冷剤で首元を冷やしました。水分を十分にとって風に当たっていると、何とか回復しました。
登山口まであと40分。あとひと歩きです。
分岐を見落とさないように慎重に進みます。
無事に登山口まで戻ってきました。久々の長時間歩行でとってもくたびれました。
朝露や熱中症対策の反省点は残りましたが、絶景、そして歩き甲斐のあるコースを楽しむことができ、コロナ禍のお盆休み一番の思い出となりました。
立秋を過ぎた今、暦上はもう秋です。
下界では毎日うだるような暑さが続いていますが、山の上には一足早く秋が訪れています。今回、山の上で見つけた秋を集めてみました。
ヒゴタイのつぼみ、栗、ススキ、どんぐり、マツムシソウ、などなど。見ているだけでなんだか涼しい空気を感じます。
どれも2週間前に来た時には見なかったものばかり。この短い間にも季節は確実に進んでいるようです。また少し涼しくなったころに是非来てみようと思います。
今回のYAMAPデータはこちらです。地図をクリックすると、詳しい情報をご覧頂けます。
前回から記録をとり始めたYAMAP。
タイム、距離、標高、消費カロリー、ルートなど色々なデータで自分の山行を後から振り返ることもできますし、実際に登山をしている最中には自分の現在地を地図上に表示させ、ルートから外れていないか、正しい道はどちらか、などを確認しながら歩くことができます。
今回の冠ヶ岳登山でも何度もYAMAPに助けられました。本当に、便利です。もっと早くから使っておけば良かったな~。
これからどんどん山の記録が増えていくのが楽しみです。