北アルプスの山

北アルプス 唐松岳・五竜岳縦走 2泊3日の旅

2日目 唐松岳頂上山荘~牛首~五竜岳~五竜山荘

 山の朝、人々の関心事というと…ご来光です。

 前日に日の出の時間を調べておいて、早めに山荘の裏山にスタンバイ。私たちが着いたころにはもう人がたくさん集まっていて、皆さん今か今かと東の空を見つめています。

 多少の雲はありましたが、この日は綺麗な日の出を見ることができました。待っている間に冷え切った体が日の光に照らされて、じんわりと温かくなっていきます。太陽のエネルギーってすごいですね。

 幸先の良い2日目。朝ごはんをしっかり食べて、荷造りをして小屋を出ます。すると、今日も正面には立派な剣岳。朝は空気が澄んでいて、その姿が昨日よりもはっきりと見えます。

 この日目指すのは五竜岳。難関は牛首と五竜岳のクサリ場です。山荘を出ると早速急な下りと岩場が始まります。岩場の足運びが苦手なわたしはド緊張です。下は崖。足を滑らせれば大事故です。慎重に進みます。

 自分たちが進むコースを反対のルートからくる方も当然いらっしゃいます。足場が狭いようなクサリ場では人がすれ違い通ることはできません。思いやりをもって声をかけ合い、お互い道を譲り合いながら先へ進みます。待っている間も必ず三点支持。背後にいる人にザックがぶつからないように気を付けます。山では登っている人が優先とされますが、あまりに登りの人が続く時はタイミングをみて通してあげましょう。岩場に不安がある方はカラビナの使用やヘルメットの着用をお勧めします。

 無事に岩場を抜けました。緊張して体に力が入っていたので、いつもより早く疲れを感じます。この後、登山道は比較的歩きやすい樹林帯やハイマツ帯に入ります。

 この日はラッキーなことに2匹の雷鳥に出会うことができました。この時期の雷鳥は保護色で岩に似た白と茶色の羽をしているので、遠くにいるとなかなか見つけにくいのですが、周りにいないか休憩中などに目を凝らして探してみるといいですね。曇りの時がチャンスです。もし見つけても、餌をあげたり騒いだりせず、優しく見守ってあげましょう。

 唐松岳頂上山荘からコースタイムで2時間30分で2日目の宿泊地・五竜山荘に到着します。この日、私たちが山荘に到着したころに五竜岳に雲がかかってしまったため、私たちは山荘で昼食をとり、天気の回復を待って五竜岳頂上へアタックすることにしました。

 待った甲斐があり、お昼を過ぎると五竜岳の雲が晴れてきました。山荘のチェックインを済ませ、今日も小屋にザックを置いて、身軽になって山頂へ向かいます。

 牛首のクサリ場を終えてすっかり油断していましたが、五竜岳山荘から五竜岳頂上へのルートは登るにつれて急な斜面になり、頂上付近は完全に岩場となります。途中まで使っていたストックは、岩場が始まる前に人の邪魔にならないところに置いていきましたが、それで正解でした。両手が塞がっていてはとても進めません。高度感があり、下を見ると足がすくんでしまいそうです。ここでも三点支持を確実にして、慎重に一歩一歩進んでいきます。この日1日で、岩場の登り降りをかなり鍛えられました…。

 五竜山荘から1時間程で、五竜岳頂上に到着です。頂上の雲は晴れましたが、生憎周囲の山には雲がかかっていました。条件が良ければ遠くに槍ヶ岳や穂高まで見えるはずだったので、ちょっと残念です。やはり、夏の北アルプスは朝早くの行動がカギのようです。

唐松岳方面

鹿島槍ヶ岳方面

剣・立山方面

 帰り道も上り同様、気を抜くことなくゆっくり慎重に下り、時間はかかりましたがなんとか無事山小屋に戻ってきました。この日の夜ご飯はスコッチエッグ付きのカレーライス。懐かしく素朴な味わいで、おかわりする人続出でした。そして次の日の朝ごはんもまたまた美味しくて大満足。この旅で利用した山小屋の中で一番ご飯が美味しかったです。

 この時山荘の食堂で働いていたのはどこかの大学の山岳部の皆さんだそうで、30日間泊まり込みのアルバイトをしているとのこと。皆さんまじめで、一生懸命働く姿が微笑ましく、頑張れ~!と心の中で応援してしまいました。施設は古く、充実しているとは決して言えませんが、そういった面でとても気持ちの良く過ごすことができました。

 3日目に続く⇒

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