北アルプスの山

北アルプス 表銀座縦走 2泊3日の旅

 表銀座とは、北アルプスの中房(なかぶさ)温泉をスタートとして、燕岳(つばくろだけ)、大天井岳(おてんしょうだけ)、槍ヶ岳を結ぶルートのことで、北アルプスの中でも人気のコースです。登山者で賑わう様子が、まるで銀座の通りようでその名前がついたとか。

 表銀座コースの最大の魅力は、なんといってもその稜線歩きです。一度稜線に出ると、その後はほぼずっと槍ヶ岳を眺めながら歩くことになります。

 私が表銀座を歩くきっかけとなったのは、2014年に白馬三山縦走のプログラムに参加した際、白馬岳から杓子岳に向かう稜線歩きの気持ち良さに感動していた私に、その時のリーダーが「稜線歩きが好きなら表銀座に行くべきだ」と言ってくれたことでした。その2年後、2016年8月11日山の日に熊本を出発し、憧れの表銀座縦走に挑戦することになります。

 同じ行程を4泊5日で歩く人もいるなか、3日間毎日約10時間歩行となる2泊3日プランでの参加。体力に自信のない私にはとても大きなチャレンジでしたが、メンバーにも天気にも恵まれ、なんとか無事に歩き終えることができました。今ではこの旅を経験したことが、山登りへの大きな自信になっています。

 今回は、その時の写真を中心に表銀座コースの魅力とポイントをご紹介したいと思います。

1日目 中房温泉~燕岳~大天井岳

 表銀座の出発地、中房温泉。前日に到着して夜は温泉につかり、翌日からの長丁場に備えます。夏の山は早めの行動が肝心!朝5:00には出発です。

 まず最初に目指すのは燕岳。合戦尾根の森の中をしばらく登っていきます。木々が日差しを遮ってはくれますが、登っているとかなり暑いです。 第一ベンチ第二ベンチ第三ベンチ富士見ベンチを休憩ポイントにして、登って、登って、登っていきます。

 3時間程登ったところに、合戦小屋という売店があります。この合戦小屋の名物はなんと、スイカです!!表銀座を歩くと決めてから、私もこのスイカを食べるのを楽しみにしていました。

 冷たくて、とっても美味しい。お山の上でスイカを頂けるなんて、ありがたや…です。ご褒美のスイカが待っていると思うと、辛い登りも頑張れました。大きなスイカを両手で持って、みなさん幸せそう。

 エネルギーを補充したら、燕岳までもう少し登りを頑張ります。この辺りで、槍ヶ岳のてっぺんが山の隙間からチラチラと見えてきました。

 え!? と、遠い…。

 明日の午後にはあの槍の先に立っている予定なのですが、とてつもなく遠く離れているように見えます。本当に歩ききれるのかと不安になると同時に、あのてっぺんに立つのだとワクワクもしてきます。

 合戦小屋から1時間半ほどで、燕山荘に到着しました。燕山荘は北アルプスの中でも人気No.1の山小屋。来てみて納得です。目の前には美しい北アルプスの女王・燕岳。山小屋の周りには、思わず写真を撮りたくなるような大きな看板や不思議な石の像。映えスポットが盛りだくさんなのです。

 

 小屋の食堂でお昼にカレーを頂きましたが、味も温かい雰囲気もとても素敵でした。この時は宿泊できなかったので、次に訪れる時はゆっくりと山小屋の中の雰囲気も楽しみたいものです。

 小屋でお昼休憩をとったら、ザックをデポして燕岳に向かいます。燕岳への道の途中、変わった形をした岩をたくさん見かけます。中でも有名なのはイルカ岩です。丸い目と、とがった口先。イルカが空の方を向いているのが分かりますか?これらの白い岩は花崗岩で、燕岳の美しい白と緑のコントラストを作り出しています。

 はるか遠くには槍ヶ岳もくっきり見えています。槍ヶ岳のとんがりは、どこから見てもその山だと分かりますね。

 燕岳、そして燕山荘を後にして、次に目指すは今日の目的地、大天井岳です。ここからはしばらく快適・絶景の稜線歩きが続きます。この日は天気が良く、ずーっと歩く先に槍ヶ岳を見ることができました。

 午後になると、山のふもとからもくもくと雲が沸き上がってきます。夏山の景色という感じです。

 大天井岳が段々と大きく見えてきました。この時点で私はかなりヘトヘト。先のルートを見ると、ここからしばらく下って、また登り返すことになりそうなので、心が折れそうになります…

 途中、ちょっとしたクサリ場やはしごがあります。クサリ場の苦手な私でもあまり難しくはありませんでした。どちらかというと大変だったのは、切通岩から大天井岳への最後の登りです。

 このように大きな石がゴロゴロした道を延々と登っていくのです。コースタイムで見れば40分程度。しかし、一日歩き続けた体にはかなり辛い道のりです。日が傾いてきたため焦りもあり、精神的にも疲れました。

 なんとか日没までに、大天井岳頂上近くに建つ山小屋大天荘(だいてんそう)にたどり着きました。元々はこの日のうちに、大天荘から片道10分程の大天井岳頂上に登る予定だったのですが、到着が遅かったため翌日のご来光の時間に合わせて登ることになりました。

 部屋に入り、荷物を下ろしたら、すぐに夕食。山小屋付近を散策する体力と心の余裕なく、次の日の準備、そして就寝…。あまりの疲れに、山小屋での写真と記憶がほとんどありません。覚えているのは晩御飯がハンバーグで嬉しかったことくらい。 

 ご飯の位置がおかしいですが、許してください。

 これでやっと長い1日目が終わりました。出発から山小屋到着まで約12時間。残り2日も長時間歩行となります。ちゃんとみんなについていけるのだろうか…と、ひとり不安な私でした。

 2日目に続きます↓

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