北アルプスの山

北アルプス 表銀座縦走 2泊3日の旅

3日目 槍ヶ岳~槍沢~横尾~上高地

 槍ヶ岳アタックの日。朝4:00に山小屋を出たとき、外はまだ真っ暗。そしてものすごい強風。ほんとにこんな中を登るのかー!と最初は信じられませんでしたが、「タイミングを逃すと人が多くなって渋滞するから早めに登る!」というリーダーの決断に従って出発しました。

 ヘッドライトの明かりを頼りに、岩場とはしごを登っていきます。とにかく岩場が苦手な私は、恐怖感と、後ろから人が来るという焦りで、もう半泣き状態。一緒に登ってきたメンバーの一人のおじさまから岩場のコツを教えてもらいながら、必死で進みました。

 最後の長ーい2つのはしごを登り切り、やっと山頂にたどり着きました。ここまで歩いてきたという達成感と、崖の上に立っているという恐怖感と、色々な気持ちが込み上げてきて、自然と涙がこぼれました。

 この時はまだ夜明け前。日の出時は更に人が山頂に集まり、身動きがとれなくなるということで、記念撮影を済ませたら即退散です。下っている途中で日の出を迎えました。

 登っている時はまだ辺りが暗く、また上を見て進むためそれほど高度感はありませんでしたが、下りとなると自分がどんなところを進んでいたのかがはっきりと見え、かなりの恐怖感があります。上を目指す人と道を譲り合いながら進みますが、登りは大渋滞。リーダーの言うことは正しかったです!早めの行動で正解でした。奥の山には影槍が映し出されています。

 山小屋へ戻ってきて、改めて槍ヶ岳を見てみます。

 あまりの渋滞っぷりにびっくり!人・人・人!こうなると、頂上まで登って帰ってくるのにコースタイムの何倍も時間がかかってしまいます。もう一度思いました、リーダーの判断は正しかったと!

 槍ヶ岳登頂を果たし、あとは最終日の上高地までの下りを残すのみとなりました。下りとはいえ、この日の歩行距離は約19km。3日間の中で最も長い距離を歩くことになります。

 山の上が名残惜しくはありますが、槍ヶ岳と山小屋にお別れを言って下り始めました。3日目も気持ちの良い快晴。東鎌尾根を見上げると、人が槍ヶ岳に向かって歩いているのが見えます。昨日私たちはあの道を登っていたのです。また、はるか遠くには富士山のシルエットを望むことができました。

 槍沢から眺める槍ヶ岳。なんだか合成写真のような空の青さです。一度その頂を踏んだ後は、山への愛着が増して、さらにその山のことが好きになってしまいます。何度も後ろを振り返り、その姿を確かめながら下っていく私たちでした。

 3時間程の長い下りを経て、槍沢ロッジまでやってきました。私はここでお昼にラーメンを頂きました。山で食べるラーメンっておいしいですよね。良い塩分補給にもなります。川辺では、手や足を水につけて火照った体を冷やしました。

 ここからは一ノ俣横尾徳沢明神など1時間前後ごとに現れるポイントを経て、ゴールの上高地まで比較的平坦な道が続くのですが、ここからがとにかく長い!徳沢辺りで私の足の感覚は既に、腰の下に棒と板がくっついているような、自分の足でないような感じになっていました。足の裏が痛いくて仕方がないのです。

 それでも、自分の足で歩くしか方法はありません。途中で漫画「岳」の主人公・三歩に出会って記念撮影。励まされた気分になって、少しだけ元気が出ました。

 その元気も長くは続きません。明神から上高地の最後の1時間は、みんな疲れ果ててほぼ無言。棒と板になった足で、痛みを堪えて、ただ黙々と歩きました。

 この日の行動時間、実に約11時間。なんとか上高地の宿に到着しました。

 私たちが上高地に着いた頃、山の上は雲に隠れていました。この翌日の北アルプスの天気は雨。上高地の名所河童橋から穂高の山を眺めたい気持ちもありましたが、私たちが山から下るまで待っていてくれたかのようで、最後にまた私たちの運の良さを感じたのでした。

私にとって、憧れでもあり、大きなチャレンジでもあった表銀座縦走。稜線歩き槍ヶ岳登頂に加えて、ご来光雷鳥富士山まで見ることができ、大満足の山旅となりました。また、良きメンバーに恵まれたことも大きなエネルギーになりました。励まし合って登ったメンバーの皆さんに感謝しています。最初にも述べましたが、この表銀座での経験は、私の山登りライフの大きな自信につながっています。

表銀座を歩く日数について、私が感じたこと

 私はこの時2泊3日のプランを選択しましたが、この場合、1日の行動時間が毎日10時間を超えることになり、かなりハードな行程となります。3泊4日4泊5日の日程で燕山荘やヒュッテ西岳、槍沢ロッヂなどに宿泊することで、同じコースをもっとゆっくりと歩くこともできますので、体力的に不安がある場合はその方が安心だと思います。特に私としては、人気の燕山荘には是非泊まってみたかったと感じています。2泊3日だと、山小屋に着くのが遅くなるため、ゆっくり山小屋周辺を散策する時間がなかったことも残念でした。

 2泊3日を選んで行動時間が長くなれば、急変しやすい午後の天気が気になりますし、逆に4泊5日を選んで長期間の山行となればその間ずっと天気がもつかどうかも気になるところです。私たちの場合は3日間とも天候に恵まれ、午後の天気の急変にも合わなかったのでラッキーでした。

 実際天気については運によるところが大きいですが、山行の大きな要素になります。そのことも踏まえて、自身の体力レベルと合わせてプランを決めると良いのではないでしょうか。

 ※ちなみに私は熊本在住のため、移動日を含めて4泊5日のプログラムに参加しました。ここでは実際山登りにあてたのが2泊3日ということで2泊3日の旅として紹介しています。

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